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ICLSとDCLSについて(今回はDCLS)
前回,ICLSについて記載しました.で,今回はDCLS.

 両者の違いは,歯科医師用と言う事で,アナフィラキシーショックの内容が増えたり,シナリオが歯科医院設定や病院歯科だったりする事でしょうか.基本的にやる事は同じですね.

 同じなら,何故わざわざDCLS?と僕は不思議に思っていたのですが,いやはやビックリというか,日本の行政にあきれるというか...

 歯科医院や病院歯科で,患者が急変したとします.で,緊急コールして除細動や静脈路確保,薬剤投与,高度な気道確保などの2次救命処置をして救急隊や救急部医師に引き継ぎましたが不幸な結果に終わってしまったとします.

 刑事裁判,民事裁判の両方が想定されます.で,この歯科医師が,医師のための救急の教科書で勉強していたので,ちゃんと一次救命処置から二次救命処置が完璧に出来て,救急に引き継ぐ事ができたとします.その結果は?

 医師法違反で訴えられるのだそうです.刑事裁判で負けるため,民事裁判でも負ける可能性が高くなります.

 ぢゃぁ,この歯科医師が勉強に使った本.医師のための本ではなく,歯科医師のための救急の本だったら?

 同じ事をしても,OKなのだそうです.医師法違反にはならず,刑事裁判では取り下げとなって,民事裁判でも有利になると思われます.

 どう考えても変でしょう?同じ事をしても,勉強に使った本や受講したコースで有罪か無罪が分かれてしまうなんて...で,そんな変な日本の行政に対抗すべく,富山の先生方が作ってくださったのが,DCLS.(というように僕は理解しています).

 歯科医師が同じ二次救命処置を行っても,ICLSで勉強していた人は医師法違反になる可能性が大.でも,DCLSで勉強していたのなら医師法違反にはなり得ない.

 このDCLSの教科書,ICLSの教科書をベースに作成されたからか,非常に分かりやすいです.前回のスレでも書きましたけど,写真とかイラストが多く,分かりやすいです.ICLSを受講されるパラメディカルの方々にもDCLSのガイドブックはお薦めです.

 Raulさんに参考になる本を教えて頂きました.DCLS受講予定の歯科医師にお勧めなのが,“誰でもできる 歯科医療事故の防ぎ方”です.ベクトル コア という出版社から出ています.僕が思い描いていた理想の歯科医院設備とか教育像が記載されていて,興味深いものでした.そのレポートは,また別スレ立てますね.DCLS受講予定,あるいはICLSやACLSなどの二次救命を勉強された歯科医師の方にはお勧めです.

 ちなみにAHAのACLSは“医師用のコース”ではなく,“医療に関係する人,関係すると思われる人”が対象のコースなので,先述の医師法には抵触しません.日本口腔外科学会のトレーニングサイトでもAHAのBLSとACLSコースを開催していますので,問題ないです.

 前回,ICLSに関する板で
消防や日赤,医師会のAED講習はダメですよ.あれらは,“一般市民など,応招義務のない方”のための講習です.歯科医師,歯科衛生士を含めた医療関係の方は,“一般市民向けAED講習会”ではダメです.その話は,別スレ立てますね.
 と記載しました.先述の“医師法違反”に関連してくるという☆ヒント☆で,考えてみて下さいね.
author:dr-mimimi, category:-, 07:28
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